ふらっと立ち寄った本屋で、「工房からの風」という
色んな工房や作品、作家さんの紹介をしている本に惹かれ、
ぱらぱらと立ち読みをしていました。
作品の素敵な写真をひととおり眺めながら
わー素敵〜♪とホクホクしてましたが
あとがきのページを開いたとき、
ある詩が目に飛び込んできたのです。
「自分の感受性くらい」 茨木のり子:作
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
(「自分の感受性くらい」茨木のり子 花神社刊)
あ、と思い、慌てて持っていた本を置きました。
一瞬のうちに涙があふれ、
危うく本に落ちそうだったからです。
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帰宅してから茨木のり子さんについて調べると
この詩は1977年に出版された詩集のものでした。
もっと早くに出会っていれば・・・?
はい、出ました。「ばかもの」の言い訳です。
私は私自身で、数ある選択肢の中からひとつを選び、
今の自分に至ったのですから、この詩に出会ってしまったからには
もう何かのせいには出来ないなと強く思います。